日本における連帯保証人制度は、借金返済に大きな責任を伴います。この記事では、保証人と連帯保証人の違い、負担の重さ、そして自己破産の際のそれぞれの立場からの影響を解説します。
日本における連帯保証人制度を解説
日本ではお金を借りる際に連帯保証人を設定するという事があります。特に借入金額が増えるに従いこの傾向は顕著になります。
例えば住宅ローン、自動車ローン、家族の債務などですね。保証人を設定しなければならない原因は、借り入れする人の信用が薄いという問題で起こります。
自己破産を行った方にその原因を調査した結果、「連帯保証人」になったからと答えた人が全体の25%程度いるようです。(日弁連・消費者問題対策委員会調べ)
つまり債務者が「連帯保証人」を設定している場合は債務者が自己破産を行った場合、「連帯保証人」に支払い義務が発生するということです。
保証人・連帯保証人の違いについて
「保証人・連帯保証人」って同じと思われがちですが少々内容が違います。
保証人 | 連帯保証人 | |
債権者がいきなり債務の請求をしてきた場合 | 債務者に請求してください」と主張することがでる(催告の抗弁) | 「催告の抗弁」を使用できない |
債務者に返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合 | 債務者の財産に強制執行をするように主張できる(検索の抗弁) | 「検索の抗弁」を使用できない |
連帯保証人が複数いる場合 | 複数で割った金額のみを返済 | 全額を返済 |
このように一言で保証人と言っても「保証人・連帯保証人」でその内容は大きく変わりますし、特に「連帯保証人」については非常に厳しい制度と言わざるを得ません。
保証人・連帯保証人に返済の資力がない場合
債務者が返済能力の欠如や返済不能に陥った場合、保証人の場合は(検索の抗弁)、(催告の抗弁)等の権利有します。
しかし連帯保証人の場合は有無もいわさず返済しなければなりません。しかも連帯保証人の返済方法は一括返済が基本のようです。
このようなことになると債務者が自己破産を行い、「保証人・連帯保証人」も連鎖で自己破産を行わなければならないという蟻地獄のような状態に陥りかねません。
たとえ婚姻関係を解消しようが返済義務は消滅しません。
反対にこのような状態になるのを恐れて益々債務が増えていき取り返しのつかない状態に陥ります。
「連帯保証人」という制度は日本以外の諸外国ではまずありえない制度です。しかし制度がありうる以上、注意するしかありません。
代位弁済と求償権について
債務者に対して保証人が債務の肩代わりをする、或いは一時的に建て替えることを代位弁済ともいいます。代位弁済に対して後に返還を求めることが正式にも認められています。これを「求償権」といいます。
しかし自己破産においては「求償権」は認められません。なぜなら自己破産とは免責許可が降りた時点で債務が0になる制度です。肩代わりや代理での弁済での返還とはまったく関係ありません。
債務者が自己破産を行った場合、保証人が支払うべき債務者の負債は保証人の支払い義務です。また保証人の支払った債務への自己破産者の返済義務は生じません。
個人的に返済するかは自由ということになります。