奨学金の返済が困難になった時、自己破産は選択肢の一つですが、それに伴う連帯保証人や保証人への影響も大きいです。
この記事では、返済困難時に日本学生支援機構が提供する減額返還、返還期限猶予、返還免除の選択肢や、連帯保証人と保証人が担う責任について説明します。
奨学金を返せなくなった場合の自己破産とリスク
奨学金の返済が何らかの理由で不可能になった場合、自己破産により債務を免除してもらうことは可能です。しかし奨学金を利用する場合、連帯保証人および保証人を設定する必要があります。
つまりあなたの債務は0になりますがあなたが仮受けた金額及び残債は連帯保証人および保証人に支払い義務が生じます。
連帯保証人および保証人を有する場合はできるだけ自己破産は避けた方が賢明です。
万が一奨学金を返せない場合の緊急処置
奨学金を返せない場合、遅延しそうな場合は日本学生支援機構に相談しましょう。
日本学生支援機構では奨学金を何らかの事情で返せない場合、「減額返還」、「返還期限猶予」、「返還免除」の3つの方法で支援してもらえます。
減額返還
減額返還とは約束どおりの返還は困難だが、減額した金額ならば返還が継続できる場合に適用され、一定期間、「当初割賦金を2分の1または3分の1に減額」して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長してもらえます。
返還予定総額が減額されるものではありませんが返還しやすくなります。ただし、延滞している場合は申請できないのでまずは日本学生支援機構に相談しましょう。
返還期限猶予
返還期限猶予とは現在返還が困難であるため、一定期間返還を待ってほしい場合に適用され、一定期間「返還を停止し先送りにする」事により、返還すべき元金や利息が免除されるものではありませんがその後の返還がしやすくなります。
返還免除
返還免除とは本人が死亡し返還ができなくなった場合や精神、あるいは身体の障害により労働能力を喪失した場合。
また労働能力に高度の制限を有し、返還が不可能な場合に申し出により返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度です。
さらに平成15年度(2004年3月31日)以前に大学院の第一種奨学生に採用となり、奨学金制度を利用した方が、規定の要件を満たし、且つ教育又は研究の職についた場合に申しい出により返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度です。
奨学金における人的保証制度について
奨学金制度を利用する場合、人的保証を行わなければなりません。人的保証とは仮にあなたが返済不能に陥った場合、あなたに代わりに奨学金を日本学生支援機構に返済してくれる人のことです。
「人的保証」の対象は「連帯保証人」及び「保証人」です。では「連帯保証人」及び「保証人」になりうる条件を見ていきましょう。
連帯保証人の条件
- 連帯保証人とは奨学生本人と連帯して返還の責任を負う人です。
- 原則として「父母」です。
- 父母がいない等の場合は奨学生本人の兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族であること。
- 未成年者および学生でないこと。
- 奨学生本人の配偶者(婚約者を含む)でないこと。
- 債務整理中(破産等)でないこと。
- 貸与終了時(貸与終了月の末日時点)に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。
保証人の条件
- 奨学生本人及び連帯保証人と別生計であること。
- 奨学生本人の父母を除く、おじ・おば・兄弟姉妹等の4親等以内の親族であること。
- 返還誓約書の誓約日(奨学金の申込日)時点で65歳未満であること。
- 未成年者および学生でないこと。
- 奨学生本人あるいは連帯保証人の配偶者(婚約者を含む)でないこと。
- 債務整理中(破産等)でないこと。
- 貸与終了時(貸与終了月の末日時点)にあなた(奨学生本人)が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。
奨学金制度とは日本学生支援機構により意欲と能力のある学生等が自らの意志と責任において、大学等で学ぶことができるように金銭的に支援する制度です。
奨学金制度は平成27年度には貸与人員は134万人に上ります。奨学金制度は第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)に分かれますがいづれにしても返還義務が生じます。
現在社会問題になっているのが奨学金を返還出来ない人が増加していることです。貸与人員が増えるに従い返済不能の方が増えるのも自然の流れかもしれません。
しかし奨学金制度を利用するには必ず「人的保証」が伴います。このことを常に念頭に置く必要があります。